2013年 04月 07日
花に嵐。
春の突風が7階のマンションのベランダにまで、桜の花びらを運んでくれました。
散った桜の花びらを見ると、いつも思い出すのが、
花に嵐の例えもあるぞ、さよならだけが人生だ
という、中国かどっかの漢詩を井伏鱒次が訳した最後の二行。
高校生のときに読んで、意味がさっぱりわからなかったのですが、
20代のときに満開の桜の下でお花見をしていて、そのときに小さな小さな竜巻のような突風が吹いたんです。
桜の花びらが風に巻き込まれて、空高く舞い上がっていく様子を見たときに、
この一文がすとんと自分の中で消化されて、
ああ、そうか。
としみじみとした気分になりました。
寺山修二や太宰なんかもこの訳を気に入っていたそうです。
咲き誇り、潔く散るからこその桜ですもんね。
そういうのが万物は移り変わるという日本人の気質によく合っているのかもしれませんね。
一瞬の出逢いを大切にしようと、いつも、この時期の桜が散る時期には思うのです。
来年も桜はやっぱりちゃんと咲いてくれるけれど、同じ形の枝振りにはならないですもんね。
同じ出逢いは無いし、一度だけだなと、花に嵐を眺めてました。